乱暴な言葉づかいをするようになった小学生の子どもに、親はどう対応すればいい?

小学生を育てるママが持つ悩みのひとつに、お子さんの乱暴な言葉づかいがあります。その場で注意したとしても親の知らないところでまた言っているのでは?と心配にもなりますよね。

子どもの口から急に強い言葉が出るとびっくりするよね…
できるだけ使ってほしくないと思っていても、そこまで制御できない部分でもあります。親はどう受け止めどのような心構えで対応するのがよいのでしょうか。
20年のキャリアを持つ現役保育士。2児のママでもあり、執筆活動を通して食育の大切さを発信中。
もくじ
言葉づかいが乱暴になる原因
それでは、小学生の言葉づかいが乱暴になる原因について見ていきましょう。
デジタル機器からの影響
現代の子どもたちはいわゆるデジタルネイティブ世代。やはりテレビや動画の影響は大きいでしょう。バラエティ番組では「まじかよー!」「おまえふざけんなよ!」「えっぐ!」といった、聞いていて気分の良くない言葉が行き交っています。
小学生頃の子どもからするとそれが乱れた言葉だとは認識しないため、テレビで聞いたことがある新しい言葉をただ言っている、といった状況ですね。試しに、「それってどういう意味?」と聞いてみましょう。おそらく、本当の意味を答えられるお子さんはほぼいないのではないでしょうか。
おうちのかたやきょうだいからの影響
いいことも悪いこともお兄ちゃんやお姉ちゃんの影響を受けるというのは、きょうだいを育てるご家庭にとって日常的なこと。ひとつ屋根の下、言葉についてもきょうだいの影響を受けてしまうのも無理ないですね。
きょうだいだけではなくママも「うまい」「やばい」といった言葉を無意識に発していると、子どもは悪気なく真似してしまいます。ママ自身が言葉に気をつけていたとしても、パパが「おまえ」「こいつ」などを日常的に使っていると、特に男の子はパパの言葉を自然と真似てしまう場合も多いようです。
学校のお友達からの影響
保育園や幼稚園では先生方も子どもたちに対して丁寧な言葉づかいを心がけていることが多いため、子どもが乱れた言葉や乱暴な言葉を使うことも時にあるとはいえ、まだ少ないでしょう。
それがいざ入学してみるとどうでしょう。半年も経たないうちに「そんなきたない言葉どこで覚えたの?!」とショックを受けることがあると思います。
クラスや学年全体の人数も増え、さらには学童保育などで中学年・高学年と関わる機会も多くなるため、子どもの世界がこれまで以上に広がる小学校生活。保育園や幼稚園の頃とは違うタイプのお友達から影響を受けるのも当然です。
こころの発達段階
この頃の子どもたちは子ども同士のコミュニケーションがぐっと活発になり、親よりもお友達に関心を持つようになります。この頃に乱暴な言葉づかいをするだけではなくいままでにない反抗的な態度をとるようになったら、それは「中間反抗期」かもしれません。
中間反抗期とは、思春期よりも前にやってくる反抗期のこと。きょうだいが生まれたり進学で環境が変わりやすい年長さん〜小学校中学年頃に多く、親の干渉を嫌がったり時に口答えをしたりと、ママとしてもムッとしてしまう日々が続く大変な時期です。
このような態度はママに対する安心感でもあり精神面がきちんと成長している証でもありますが、荒れた言葉を投げつけられる日々に疲弊してしまうママが多いのも現状です。
ママはどう思っている?《調査結果》
ここで、0歳〜9歳・10歳頃の子どもを育てるママ542人に、「こどもに大切にしてほしい言葉と使ってほしくない言葉は何ですか?」と質問をした調査結果をご紹介します。
「大切にしてほしい言葉」
「大切にしてほしい言葉」の第一位は男児・女児ともに「ありがとう」、続く第二位は「ごめんなさい」でした。ここを読んでくださっているママも、同じ気持ちなのではないでしょうか。
「使って欲しくない言葉」
そして「使ってほしくない言葉」の結果は、男児・女児ともに第一位は「ばか(男児101件・女児94件)」、続く第二位は「死ね(男児44件・女児26件)」という結果でした。三位以下も男児女児ともに「人を傷つける言葉」「人をばかにする言葉」「大キライ※女児」「くそばばあ」「どうせ○○」など、我が子からは聞きたくない言葉が並んでいます。
子どもにとってだんだんと外の世界が中心になってくるこの年頃、親がすべてを把握し都度対応することも難しくなってきました。
次の章では、乱暴な言葉づかいをする子どもをどう受け止めるべきかについてお話します。ママだからこそできることがたくさんありますよ。
乱暴な言葉づかいをする子どもとの関わり方
子どもにつられてママもヒートアップしては元も子もないので、深呼吸しながらやっていきましょう。
言葉の基準を決めておく
ママが思う乱暴な言葉には、「できれば言わないでほしいな」と思う言葉と、「絶対に言ってはいけない」と思う言葉があると思います。ぼんやりとしていてまだ明確でない場合は、ここで決めてしまいましょう。ママとパパで話し合って決めるのもおすすめです。
子どもの言葉すべてをコントロールすることも考えものですし、そもそも不可能でしょう。子どもからしても、発した言葉のあれもこれもといちいち指摘されてはしんどくなってしまいます。
人を傷つける言葉は絶対に言わない!など、決め事をするだけではなく、乱暴なことを言われた相手がどう思うのか?というところまで一緒に考えられるといいですね。

全てを禁止するのではなく、ここまでだったら受け入れる。といった基準を決めることが大切なんだね…!
言葉の選び方を教えてあげる
小学生になると語彙数もぐっと増えてくる頃ですが、語彙力として考えるとまだまだ未熟な部分がたくさんあります。
その時々に適した言葉が見つからず、思わず「クソが!」「ウザッ」「キモイ」などの乱れた言葉となって出てしまっているなと感じたら、その都度ひとつずつ正しい言葉の選び方をママが教えてあげる必要があります。
「どんな気持ちになってその言葉を使ったの?」と具体的に質問し、子ども自身が自分の気持ちにぴったりあてはまる言葉をママが一緒に見つけてあげましょう。
このような質問に答えることが難しい子どもの場合は、普段から自分で考えさせる習慣をつけるのがおすすめです。例えば、「ママ、お茶〜」と言われたら「お茶がなあに?」と聞き返し、お茶をどうしたいのかを子どもがきちんと自分の口で言えるように工夫してみましょう。
特に、察する力が優れているママの場合は子どもに言われる前にあれこれと解決してしまうことも多いかと思います。少しだけ間を置いて、子どもの言葉を引き出すサポート役になってみましょう!ぐんぐん語彙力が育ち、子どもとの会話がますます楽しくなりますよ。
意識できたときに褒めてあげる
ママやパパに「その言葉は使ってほしくないな」と言われていると、「これはだめな言葉なんだな」と子どもなりに意識していることは間違いありません。しばらくは癖のように言ってしまうこともありますが、子どもはきっと自分で修正しようとするでしょう。
筆者の息子は入学して半年くらい経った頃から、ゲーム中に「ばかぁ!」と頻繁に言うようになりました。そこで、「ばかはよくないよ、ママが悲しい。言いたくなったらママの顔を思い出してね」と言ってみたところそれが響いたようで、「ば…!…ばーむくーへん!」と、とっさに言い換えるようになったのです。
それには思わず笑ってしまいましたが、ちゃんと自分で気がつけたことを褒めてあげると、なんとも得意げな顔を見せてくれました。
ですが、2学期も終わりに近づいている今日この頃、ゲームに夢中になるとやはり反射的に口から出ることはまだまだあります。まだまだ言い続けるしかないようです…!
子ども自身が意識できるように
子どもにひとつのことを習慣づけるだけでも、かなりの時間と労力が必要でしょう。乱暴な言葉づかいもすぐに修正されるものではありませんが、「言葉の先には必ず相手がいる」ことを子ども自身で知ることがなによりも大切です。
ママがしんどくならないようゆるっとした気持ちでお子さんを見守り、時に叱る。そんなふうに前向きに対応していきたいですね。
・株式会社バンダイ「~バンダイこどもアンケートレポート Vol.30~お子様に大切にしてほしい言葉、使ってほしくない言葉は何ですか?」,1997
・書籍:三森ゆりか(監修)「こども話し方教室」,2024