成果主義から抜け出す子育てのコツ – グロースマインドセットで子どもの可能性を広げよう

「テストでクラス何番だった?」「隣の家の子はもう英検3級に合格したのよ」こんな会話、ママ友との間で聞いたことありませんか?

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こだちん

子どもの成績や結果にばかり目が行ってしまう「成果主義」の子育て。実は知らず知らずのうちにその波に飲み込まれているのかも…

でも大丈夫。そんな成果ばかりを追いかける子育てから抜け出す方法が「グロースマインドセット」です。

結果よりも過程を大切にし、子どもの可能性を広げる子育てのコツとは何か?ママが簡単に取り組める様々なヒントをご紹介します。

成果主義の子育てが子どもに与える影響とは?

「100点取らなきゃ意味ないでしょ」「どうしてお兄ちゃんのようにできないの?」…こんな言葉を子どもにかけたことはありませんか?

成果主義の子育ては、知らず知らずのうちに子どもたちに大きな影響を与えています。その影響とは何か、まずは理解していきましょう。

 

子どもの自己肯定感が低下してしまう

常に結果を求められると、子どもは「できないと価値がない」と感じてしまいます。テストで良い点を取れなかったとき、コンクールで入賞できなかったとき、子どもは「自分はダメな子なんだ」と思い込んでしまうのです。

ある研究によると、成績や結果ばかりを重視される環境で育った子どもは、失敗を恐れる傾向が高まり、自己肯定感が低下することがわかっています。「できなかった」ことが「自分はダメだ」という思い込みにつながってしまうのです。

 

チャレンジ精神が育ちにくくなる

「失敗したらどうしよう」「ママに怒られるかも」と考えると、子どもは新しいことに挑戦する勇気を失ってしまいます。失敗を恐れるあまり、安全な道ばかりを選び、難しいことや未知のことに挑戦しなくなるのです。

子どもの冒険心や好奇心は、人生を豊かにするかけがえのない宝物。それなのに、私たち親が知らず知らずのうちにそれを奪ってしまっていることがあるのです。

 

親子関係にストレスが生まれる

「また叱られる」「期待に応えられない」という恐れから、子どもは親に本音を話さなくなることも。親も「どうして頑張らないの」とイライラし、家庭の中に緊張感が漂うようになります。

本来、親子関係は温かく、安心できるものであるはず。成果主義の子育ては、その関係性にストレスをもたらしてしまうのです。

 

グロースマインドセットとは?成果主義から抜け出すカギ

成果主義の子育てから抜け出すためのカギとなるのが「グロースマインドセット」です。これはスタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエック博士が提唱した考え方で、「能力は努力によって成長する」という信念を持つことを指します。

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こだちん

「グロースマインドセット」という考え方についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください!

 

固定マインドセットとグロースマインドセットの違い

固定マインドセットとは、「能力や才能は生まれつき決まっている」と考える思考様式。「数学が苦手な子は一生数学が苦手」「運動神経は生まれつき」という考え方ですね。

一方、グロースマインドセットでは、「努力や適切な方法で能力は伸びる」と考えます。「今は苦手でも、工夫して練習すれば上手になる」「失敗は成長するチャンス」という前向きな姿勢を持つのです。

親がグロースマインドセットを持つことで、子どもの可能性を信じ、その成長プロセスを応援できるようになります。結果よりも過程を大切にする姿勢が、子どもの健全な成長を促すのです。

 

子どもの脳の発達とグロースマインドセットの関係

子どもの脳は非常に柔軟で、経験によって神経回路が作られていきます。これを「脳の可塑性」と言います。

グロースマインドセットを持つ子どもは、困難に直面しても「どうすれば解決できるか」と考え、新しい神経回路を作り出す機会を得ます。一方、固定マインドセットの子どもは「私にはできない」と諦めてしまうため、脳の発達の機会を逃してしまうことになるのです。

脳科学の研究からも、「できない」を「まだできない」と捉えることで、子どもの脳は活性化し、学習効果が高まることが明らかになっています。

 

日常生活で実践!グロースマインドセットを育む声かけのコツ

グロースマインドセットを育むには、日々の声かけが大切。何気ない一言が、子どもの思考パターンを形作っていきますよ。

 

結果よりも過程を褒める言葉を選ぶ

△「すごい!100点取ったんだね!」
◎「難しい問題に諦めずに取り組んだね。その姿勢がすばらしいよ」

△「優勝おめでとう!さすが!」
◎「毎日コツコツ練習を続けた成果が出たね。努力が実を結んだね」

△「頭いいね!」
◎「新しい解き方を考えたんだね。その工夫がいいね」

このように、結果そのものより、そこに至るまでの努力や工夫、粘り強さを褒めることで、子どもは「頑張ることに価値がある」と学んでいきます。

 

「まだ」を加えるだけで変わる言葉の力

「できない」という言葉に「まだ」を加えるだけで、子どもの受け取り方は大きく変わります。

「私は水泳が苦手」→「私はまだ水泳が苦手」
「漢字を覚えられない」→「まだ漢字を覚えられていない」

この小さな違いが、「今はできなくても、これから頑張ればできるようになる」という可能性を子どもに示すのです。ママ自身も「まだ」を意識して使ってみましょう。

 

失敗を学びの機会として捉える声かけ

失敗したときこそ、グロースマインドセットを育むチャンスです。

「残念だったね。でも、この経験から何を学べたかな?」
「うまくいかなかったのは、どんな理由があると思う?次はどうしたらいいかな?」
「失敗は誰にでもあるよ。大切なのは、そこからどう立ち直るかだね」

このような声かけによって、子どもは失敗を恐れず、それを成長の糧にする姿勢を身につけていきます。

 

ママ自身がグロースマインドセットを持つことの大切さ

子どもにグロースマインドセットを育むには、まずママ自身がそれを実践することが大切。その理由は、子どもは言葉よりも親の姿勢や行動から多くを学ぶからです。

 

自分自身への声かけを見直してみよう

「私は絵が下手だから」「私は人前で話すのが苦手」など、ママ自身が自分の能力を固定的に捉えていませんか?

子どもの前でこのような言葉を発すると、「大人になっても能力は変わらないもの」というメッセージを伝えてしまいます。

代わりに「私はまだ絵が上手ではないけど、練習すれば上達するはず」「人前で話すのは緊張するけど、少しずつ慣れていきたいな」という言葉を使ってみましょう。

ママの挑戦する姿は、子どもにとって最高の教材となります。

 

他の子と比較せず、我が子のペースを尊重する

「隣の家の子はもう漢字をマスターしているのに」「クラスのみんなはできているのに」など、このような比較の言葉は子どもを傷つけるだけでなく、ママ自身も苦しめます。

一人ひとり発達のペースや得意不得意は異なります。我が子のペースを尊重し、小さな成長を喜び合える関係を築きましょう。

「あの子より」ではなく「昨日の自分より」成長しているかどうかに目を向けることが大切です。

 

ママ自身の挑戦を子どもに見せる勇気

「ママも新しいことに挑戦しているよ」「ママも失敗したけど、こうやって乗り越えたよ」と、子どもの前で新しいことに挑戦したり、失敗しても諦めずに取り組む姿を見せることは、どんな言葉よりも説得力があります。

料理の新しいレシピに挑戦する、趣味や資格の勉強を始める、職場での新しい役割に挑むなど。どんな小さなことでも、ママが成長し続ける姿勢を子どもに見せることで自然とグロースマインドセットが育まれていくのです。

 

成果主義社会の中で、グロースマインドセットを守るための環境づくり

私たちの社会は、残念ながら成果主義的な価値観が強く残っています。そんな社会の中で、どのようにして子どものグロースマインドセットを守り育てていけばよいのでしょうか?

 

家庭を「安全基地」にする意識

学校や習い事、友達関係の中では、どうしても成績や結果が重視される場面があります。だからこそ、家庭は子どもにとっての「安全基地」であることが大切です。

「結果がどうであれ、あなたのことを愛している」「ここでは失敗してもいい」というメッセージを、言葉と態度で常に伝え続けましょう。子どもが心から安心できる場所があることで、外の世界での挑戦にも前向きになれるのです。

 

多様な体験を通じて「得意」を見つける機会を

勉強や運動だけでなく、芸術、自然体験、ボランティア活動など、さまざまな経験を子どもと経験しましょう。多様な体験の中から「これが好き!」「これが得意!」と感じるものを見つけることで、子どもは自信を持ち、自分の可能性を信じられるようになります。

成績表には現れない能力や資質がたくさんあります。忍耐力、共感性、創造性、協調性…。そんな「見えない力」に目を向け、それを育む機会を意識的に作ってあげましょう。

 

コミュニティの選択も大切に

子どもの通う習い事や、ママ友との関係も、可能な範囲で選んでいきましょう。「結果よりも成長過程を大切にする」「一人ひとりの個性を尊重する」という価値観を共有できる環境は、子どものグロースマインドセットを育むのに大きな助けとなります。

「うちの子は○○教室に通っているの!」「うちの子は何歳で検定に合格したの」といった会話が中心のコミュニティよりも、「子どもの好きなことは?」「最近、何に興味を持っているの?」といった会話が生まれるコミュニティを大切にしたいものですね。

 

グロースマインドセットが育む、将来への可能性

グロースマインドセットを持つ子どもは、どのような未来を切り拓いていくのでしょうか?研究結果や実例から、その可能性を探ってみましょう。

 

変化の激しい社会を生き抜く力

AIや働き方の変化など、子どもたちが大人になる頃の社会は、私たちが想像する以上に変化しているでしょう。そんな時代に必要なのは、「変化に対応する柔軟性」「新しいことを学び続ける姿勢」です。

グロースマインドセットを持つ子どもは、未知の課題に直面しても「どうすれば解決できるか」と考え、学び続ける力を持っています。この姿勢こそが、将来の社会で最も価値のあるスキルになるのです。

 

レジリエンス(回復力)の高さ

人生には挫折や困難がつきものです。そんなときに「私にはできない」と諦めるのではなく、「どうすれば乗り越えられるか」と考え、立ち直る力が「レジリエンス」です。

グロースマインドセットを持つ子どもは、失敗を「終わり」ではなく「学びの始まり」と捉えるため、困難から立ち直る力が自然と育まれます。

この力は、学業や仕事だけでなく、人間関係や健康面など、人生のあらゆる場面で役立つものです。

 

生涯にわたる学びの姿勢

「もう大人だから新しいことは学べない」「年をとったから変われない」といった思い込みから解放され、いくつになっても好奇心を持ち、学び続けられる人生は、どれほど豊かなものでしょうか。

グロースマインドセットを持つ子どもは、大人になっても学ぶことの喜びを知っています。年齢や立場に関わらず、新しい可能性に挑戦し続ける姿勢は、充実した人生を送るための大きな武器となるでしょう。

 

さいごに

成果主義から抜け出し、グロースマインドセットを育む子育ては、決して容易なことではありません。社会の風潮や周囲の目を気にして、つい「結果」に目が行ってしまうこともあるでしょう。

でも、大切なのは完璧な親になることではありません。ときに失敗し立ち止まることがあっても、「まだ理想の親ではないけれど、日々学び成長している」というグロースマインドセットをママ自身も持ちましょう。

子どもの無限の可能性を信じ、その成長のプロセスを心から喜べる子育て。そんな子育てが、子どもにとっても、ママ自身にとっても、かけがえのない宝物になることでしょう。

教えてくれたひとえみ先生 / 保育士・幼稚園教諭・栄養士
キャリア20年を超える現役保育士、2児の母。これまで「うちの子すぐにあきらめるんです…」そんな声をたくさん聞いてきました。でも、声かけや関わり方の工夫で子どもは「またやってみる!」と思えるようになりますよ。一緒に取り組んでいきましょう!

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