子どもが嘘をつくのはなぜ?年齢別の理由と上手な対応法

「ママ、お菓子食べてないよ」と言いながら、口元にチョコレートの跡が…。「宿題終わったよ」と言ったのに、まだ半分も進んでいない。こんな経験、ありませんか?

子どもの嘘に気づいたとき、なんで嘘をつくの?と悩んでしまうよね。でも実は、子どもが嘘をつくのには、年齢や発達に応じた理由があるみたい。
この記事では、乳幼児期から学童期の子どもが嘘をつく理由や、年齢別の上手な対応法をご紹介します。「なぜウチの子は嘘をつくの?」と悩むママの気持ちに寄り添いながら、子どもの心理を理解して、親子関係をより良くするヒントをお伝えします。
もくじ
1.子どもが嘘をつくのは成長の証!発達段階による違いとは
子どもが嘘をつくと「うちの子、大丈夫かな…」と心配になりますよね。でも実は、嘘をつくことは子どもの認知発達の一部なんです。
2~3歳頃になると、「現実と想像の区別」や「他の人の考えを想像する力」が芽生え始めます。これは「心の理論」と呼ばれる大切な発達段階。この力が育つからこそ、嘘をつけるようになるんです。
つまり、嘘をつくことは「頭の発達が順調」というサインでもあります。もちろん、嘘の内容や頻度によっては対応が必要ですが、子どもの嘘を発達の視点で見てみると、少し気持ちが楽になりませんか?
乳幼児期(2~5歳)の嘘の特徴
この年齢の子どもたちは、まだ「嘘」と「本当」の区別が曖昧です。「ワニさんがお部屋に来たよ!」というのは、大人から見れば明らかな嘘ですが、子どもの中では想像と現実が混ざっていることも。
また、「お片付けしたよ」と言いながらおもちゃを布団の下に隠すような行動も。これは「見えなくなれば大丈夫」という単純な発想からくるものです。
幼児期の子どもは、自分の行動の結果を予測する力もまだ発達途上。嘘がバレることや、その後の展開を十分に考えられないんですね。
学童期(6~12歳)の嘘の特徴
小学生になると、より計画的で複雑な嘘がつけるようになります。「宿題をやってきた」と言いながら、うまく言い訳を考えたり、証拠を隠したりすることも。
この頃になると、周囲の評価を気にするようになり、「ダメな子だと思われたくない」「怒られたくない」という気持ちから嘘をつくことが増えてきます。
また、友達との関係の中で「かっこよく見せたい」「認めてもらいたい」という思いから、経験を盛ったり、持ち物を自慢したりすることも。
学童期の嘘は、社会性の発達と深く関わっています。他者からどう見られるかを意識し始め、自分の行動をコントロールしようとする姿勢の表れでもあるのです。
2.子どもが嘘をつく5つの理由とその心理
「なぜ子どもは嘘をつくの?」この疑問を持つママは多いはず。子どもが嘘をつく理由はさまざま。その心理を理解することで、適切な対応ができるようになります。
理由1:叱られるのが怖い
最も多いのが「叱られるのが怖いから」という理由です。
「牛乳をこぼしちゃった?」「ううん、こぼしてない」
実はこれ、単純に叱られるのが怖いからの防衛反応。特に、過去に強く叱られた経験がある子どもは、その不快な体験を避けようとして嘘をつきやすくなります。
ママやパパが怒りっぽかったり、叱り方が厳しすぎたりすると、子どもは本当のことを言うよりも、嘘をついて切り抜けようとするんですね。
理由2:注目されたい、認められたい
「幼稚園で先生にほめられたよ!」「友達のお家には50mのプールがあるんだって!」
このような嘘は、「自分に関心を持ってほしい」「すごいと思ってほしい」という気持ちから生まれます。
特に、家族の中で存在感を出せない、十分な関心を得られていないと感じている子どもは、注目を集めるために事実を脚色することがあります。
理由3:現実と想像の区別がまだ難しい
幼い子どもは、想像と現実の境界線がまだはっきりしていません。
「お空の上におばあちゃんがいるの。昨日話したよ」
こんな風に話す子どもは、必ずしも意図的に嘘をついているわけではなく、自分の想像したことを本当のことのように感じているのです。
これは「嘘」というより「ファンタジー」や「空想」の世界を楽しんでいる状態。子どもの豊かな想像力の表れと考えられます。
理由4:言葉の意味や状況をまだ理解していない
「今日、保育園で給食食べた?」「うん、食べた!」(実際は、その日はお弁当の日だった)
幼い子どもは、質問の意味を十分に理解していなかったり、時間や状況の把握が曖昧だったりすることがあります。彼らなりに「合っている」と思って答えているのに、結果的に事実と異なることも。
これは意図的な「嘘」というより、認知発達の過程で見られる自然な現象です。
理由5:モデリング(大人の真似)
「この服、新しく買ったの?」「ううん、前からあったよ」(実は内緒で買った)
子どもは大人の行動をよく観察していて、大人が「白い嘘」をついているのを見て学習することがあります。例えば、電話で「今、出かけるところ」と言いながら実はまだパジャマ姿のママの様子を見て、「状況によっては本当ではないことを言っても良い」と学んでしまうことも。
子どもは私たち大人の鏡。私たち自身の言動を振り返るきっかけにもなりますね。
3.年齢別!子どもの嘘への対応方法
子どもの嘘への対応は、年齢によって少しずつ変えていくことが大切です。発達段階に合わせた関わり方で、子どもの心に寄り添いましょう。
2~3歳の子どもへの対応
この年齢では、まだ「嘘」という概念自体を理解していません。想像と現実の区別もつきにくい時期です。
【具体的な対応法】
• 嘘を厳しく叱るのではなく、事実を優しく伝える
「チョコレート食べたんだね。口元にチョコがついているよ」
• 空想と現実の違いを教える
「それは〇〇ちゃんが考えた素敵なお話だね。本当にあったことと、想像したことは違うんだよ」
• 感情を認めてから、行動について話す
「おもちゃを壊しちゃって怖かったんだね。でも、ママには本当のことを言ってくれると嬉しいな」
この時期は「嘘をついたら悪い子」というラベリングは避け、安心して本当のことが言える関係づくりを心がけましょう。
4~5歳の子どもへの対応
少しずつ嘘と本当の区別がつくようになりますが、まだ発達途上。社会的なルールも学び始める時期です。
【具体的な対応法】
• 本当のことを話してくれたときは、しっかり褒める
「正直に話してくれてありがとう。勇気がいることだったね」
• 嘘をついた理由を聞く(詰問ではなく、優しく)
「どうして最初は違うことを言ったの?怖かった?」
• 小さな嘘でも見過ごさない
「ママは〇〇ちゃんの言うことを信じているよ。だから本当のことを教えてね」
• 物語や絵本を通じて「正直さ」について話し合う
叱るよりも「正直に話すことの大切さ」を伝えることに重点を置きましょう。
小学生の子どもへの対応
この年齢になると、意図的に嘘をつくことができ、その結果も予測できるようになります。友達関係の中での嘘も増えてきます。
【具体的な対応法】
• 嘘の背景にある感情や事情を理解する
「テストの点数を隠したのは、ママが怒るって思ったから?」
• 問題解決の手伝いをする
「次のテストでどうやったら点数が上がると思う?一緒に考えてみよう」
• 嘘の結果について話し合う
「嘘をつくと相手の信頼を失うことがあるよ。一度信頼を失うと、取り戻すのは大変だよ」
• 自分の失敗体験も伝える
「ママも子どもの頃、同じようなことがあったよ。そのときはね…」
この時期は、単に「嘘はダメ」と言うだけでなく、なぜ正直さが大切なのかを理解させることが重要です。
4.子どもの嘘に効果的な親の対応7つのポイント
子どもが嘘をついたとき、どんな対応が効果的なのでしょうか?子どもの心を傷つけず、でも正直さの大切さを教えるためのポイントをご紹介します。
1:冷静に対応する
子どもの嘘に気づいたとき、つい感情的になってしまいがちですが、まずは深呼吸。冷静さを保つことが大切です。怒りの感情をぶつけると、子どもはますます怖くなって嘘をつきやすくなります。
2:「嘘つき」とレッテルを貼らない
「また嘘ついて!いつも嘘ばっかり!」という言い方は避けましょう。行動を否定しても、子ども自身を否定しないことが重要です。子どもは自分の価値を親の言葉から学びます。
3:嘘をつく理由を理解しようとする
「どうして本当のことを言えなかったの?」と優しく尋ねてみましょう。子どもが安心して本音を話せる雰囲気づくりが大切です。その背景には、恐れや不安、自信のなさなどが隠れていることも。
4:本当のことを話したときは必ず褒める
勇気を出して本当のことを話した時は、「正直に話してくれてありがとう」と伝えましょう。たとえ内容が良くないことでも、正直さそのものを評価することで、「本当のことを言っても大丈夫」という安心感を育てます。
5:問題解決に焦点を当てる
例えば宿題をやっていないのに「やった」と嘘をついた場合、「じゃあ、いつやる?ママも横について教えてあげようか?」と解決策を一緒に考えましょう。叱るだけでなく、サポートの姿勢を見せることが大切です。
6:大人も正直であることを見せる
親自身が嘘をついていないか振り返ってみましょう。「ちょっとした白い嘘」も子どもはよく観察しています。大人が正直さを大切にしている姿を見せることが最高の教育になります。
7:年齢に応じた期待を持つ
3歳の子どもに「絶対に嘘をつかないで」と求めるのは現実的ではありません。発達段階に応じた期待を持ち、少しずつ正直さの価値を教えていきましょう。
5.こんなときどうする?子どもの嘘への具体的な対応例
実際にどんな風に対応すればいいのか、具体的なシチュエーション別にご紹介します。この例を参考に、お子さんの状況に合わせてアレンジしてみてくださいね。
ケース1:おやつを隠れて食べて「食べてない」と言う場合
【NGな対応】
「嘘つき!口の周りにチョコがついてるじゃない!」と責める
【おすすめの対応】
「あれ?口の周りにチョコレートがついているよ。おやつ食べたかな?」と優しく事実を指摘。
「おやつが食べたかったんだね。でも、ママに本当のことを言ってくれると嬉しいな。次からおやつが食べたいときは『おやつ食べたい』って言ってね」
食事の時間やおやつのルールを見直すチャンスかもしれません。「お腹がすいていたのかな?」と子どもの気持ちを汲み取ることも大切です。
ケース2:宿題をやっていないのに「やった」と言う場合
【NGな対応】
「また嘘ついて!いつも同じ!なんでちゃんとやらないの!」と怒る
【おすすめの対応】
「宿題、見せてくれる?」と確認した後、「まだ終わってないみたいだね。宿題、難しかった?」と理由を聞く。
「宿題をやるのは大変だけど、正直に『まだ終わってない』って言ってくれたほうが、ママも一緒に考えられるよ。何か手伝えることある?」とサポートの姿勢を見せる。
宿題の量や難易度が適切かどうかも検討してみましょう。必要なら学校の先生に相談することも考えてみてください。
ケース3:友達関係で嘘をつく場合(「友達100人いる」など)
【NGな対応】
「そんなわけないでしょ!嘘ついてかっこ悪いよ」と否定する
【おすすめの対応】
「へえ、すごいね。どんなお友達がいるの?」と会話を続け、子どもの気持ちを探る。
後で二人きりになったときに「たくさんお友達がいるといいなって思ってるんだね」と気持ちに共感。
「お友達が100人もいなくても、〇〇くんのことが好きな人はたくさんいるよ。ママも大好きだし」と安心感を与える。
承認欲求や人気への憧れを理解し、子どもの自己肯定感を高める言葉かけを心がけましょう。
6.さいごに
ご紹介したように、子どもの嘘の多くは発達段階の一部。彼らなりの理由があります。
大切なのは、子どもを「嘘つき」とレッテルを貼らず、嘘の背景にある気持ちを理解すること。そして、正直に話してくれたときはしっかり認め、褒めること。これが、子どもが安心して本当のことを話せる関係づくりにつながります。
もちろん、嘘をしていいわけではありません。ですが、叱責や恥をかかせることよりも、なぜ正直であることが大切なのかを教えることの方が効果的です。私たち大人も完璧ではないことを認め、子どもと一緒に成長していく姿勢が大切かもしれませんね。
子育ては長い道のり。今日の小さな一歩が、将来の大きな成長につながります。子どもの嘘に悩むママへ。あなたが考え、悩み、子どもと向き合おうとしていること自体が、素晴らしい子育てです。一緒に、子どもの心の成長を温かく見守っていきましょう。
キャリア20年を超える現役保育士、2児の母。これまで「うちの子すぐにあきらめるんです…」そんな声をたくさん聞いてきました。でも、声かけや関わり方の工夫で子どもは「またやってみる!」と思えるようになりますよ。一緒に取り組んでいきましょう!