【3〜6歳】間違えるのを怖がる・嫌がる子どもの気持ちを育て直す7つの言葉がけ

「私やらない」「間違えるから嫌だ」など、積極的にチャレンジしようとしない我が子。毎日お子さんと向き合っているママやパパとしては、こういった姿に戸惑うこともありますよね。しかし、こういった子どもの「間違えるのを怖がる」「間違いを嫌がる」気持ちは、適切な言葉がけで育て直すことができるのです。
そこで今回は、間違いを怖がらずに挑戦する心を引き出す7つの効果的な言葉がけと、3〜6歳頃の子どもに向けた年齢別アプローチをご紹介します。

「こんなこと言っちゃってたな…」という項目があっても大丈夫!お子さんの「やってみたい!」気持ちを取り戻すお手伝いをします!
もくじ
1.間違えるのを怖がる理由
3〜6歳頃の幼児が間違えることを恐れる背景には、いくつかの要因があります。子どもの心理を理解することで、より効果的な声かけができるようになりますよ。ひとつずつ見ていきましょう。
大人の反応と言葉がけの影響
「どうしてそんなことをしたの?」「ちゃんと考えなさい」「もっと上手にできるでしょ」などの否定的な言葉を繰り返し受けると、子どもは失敗することへの恐れを感じるようになります。大人の何気ないひとことが、子どもの心に大きな影響を与えているのですね。
特に叱責や否定的なフィードバックが多いと、子どもは「間違えること=悪いこと」という認識を持ち、失敗を避けようとする傾向が強まります。
周囲との比較による自信の喪失
「お姉ちゃんはもうできるのに」「隣のクラスの○○ちゃんはもう自分で靴が履けるよ」などの比較表現は、子どもの自信を奪います。
幼児期でも特に4〜5歳頃になると自分と他の子を比べる意識が芽生え始め、「自分だけできない」という劣等感を感じやすくなります。
幼稚園や保育園では同年齢の子どもたちと集団生活を送るため、さらに比較の機会が増えます。「みんながやっているのに自分だけできない」という経験が、挑戦する意欲を減退させる原因になることがあります。
完璧主義的傾向と固定的マインドセット
生まれながらに完璧主義的な傾向を持つ子どもは、「すべてうまくできなければならない」という考えを持ちやすく、失敗に対して強い恐れを感じることがあります。5〜6歳になると特にこの傾向が顕著になる子もいます。
また、「頭がいい子」「器用な子」など、能力を固定的なものとして捉える「固定的マインドセット」を持つと、努力よりも「できる・できない」という結果に価値を置くようになります。
そのため、失敗することを避け、既にできることだけに取り組もうとする傾向が強まるのです。
2.間違えるのを怖がるときの心理的サイン
3〜6歳頃の子どもが「間違えるのが怖い」「失敗を恐れている」気持ちを抱えているとき、以下のようなサインを示すことがあります。
顕著な行動サイン
・新しい活動や遊びに参加しようとしない
・「できない」「やりたくない」とすぐに言う
・完璧にできないと泣いたり怒ったりする
・他の子の様子をじっと見ていて自分は動かない
・「上手?」「いい?」と頻繁に確認を求める
・始める前から「むずかしい」と言う
・少しでも難しそうなことにはチャレンジしない
・失敗した後に極端に落ち込んだり、活動をやめてしまう
年齢別の特徴的なサイン
【3歳】
・「やって」と大人に頼りがちになる
・失敗すると泣いたり、怒ったりする感情表現が激しい
・「自分でやる」と言いながらも、難しくなると投げ出す
【4〜5歳】
・「みんなできるのに私だけ…」など、比較する言葉が増える
・「間違えたらどうしよう」と不安を言葉で表現するようになる
・失敗を極端に恐れ、安全策ばかり選ぶ
【5〜6歳】
・「完璧にできない」ことへのこだわりが強くなる
・「バカにされたくない」「笑われたくない」という対人意識が強まる
・失敗を隠そうとしたり、言い訳をしたりする
これらのサインが見られたら、子どもが失敗を恐れている可能性が高いでしょう。ですが適切な言葉がけで挑戦する勇気を育むことはできますよ。次の項目をご覧ください。
3.間違えるのを怖がる子どもに効果的な言葉がけ7選
3〜6歳の幼児が持つ「間違えるのが怖い」という気持ちを育て直すために効果的な言葉がけをご紹介します。これらの言葉がけは、子どもの自己肯定感を高め、挑戦する勇気を育むことにもつながるでしょう。
1.失敗を肯定的に捉え直す言葉がけ
「失敗は成長するためのステップだよ」
「間違えることで気づくことがたくさんあるんだよ」
「うまくいかなくても、挑戦したことが素晴らしいよ」
失敗を学びの機会として肯定的に捉え直す言葉をかけましょう。失敗は悪いことではなく、成長のための大切なプロセスだと伝えることで、子どもは恐れずに挑戦できるようになります。
特に4〜6歳頃は、失敗の意味を理解し始める時期です。「失敗=学び」という方程式を繰り返し伝えることで、失敗に対する恐れを減らすことができます。
2.過程を褒める言葉がけ
「あきらめずに挑戦する姿勢がすばらしいね」
「工夫して考えているところがいいね」
「難しいことに挑戦する勇気があるね」
「少しずつ練習を重ねているところが素晴らしいよ」
結果ではなく、取り組む姿勢や過程を褒めることで、子どもは「頑張ること」自体に価値を見出すようになります。特に3〜5歳の子どもは、自分の努力が認められることで大きな自信を得ることができます。
「がんばったね」という言葉だけでなく、具体的にどんな点が良かったのかを伝えると、より効果的です。例えば「あの難しい部分も、あきらめずに最後までやり遂げたね」など、具体的な場面や行動に言及しましょう。
3.気持ちに寄り添う言葉がけ
「間違えるのが怖いと感じるんだね。ママ(パパ)もそういうときあるよ」
「緊張しているんだね。大丈夫、ゆっくり考えていいんだよ」
「難しくて困っているんだね。どんなところが難しい?」
子どもの気持ちを否定せず、理解していることを伝えましょう。感情を受け止めてもらえると、子どもは安心して自分の気持ちと向き合えるようになります。
特に4〜6歳の幼児は自分の感情を言葉で表現できるようになる時期です。「怖い」「不安」「悲しい」などの感情を認め、それらは自然なものだと伝えることで、子どもは感情を抑え込まずに対処する方法を学びます。
4. 「まだ」の言葉を使った言葉がけ
「まだ難しいかもしれないけど、練習すれば上手になるよ」
「まだ上手じゃないと思っても、少しずつ成長しているよ」
「まだ途中だね。次はどうやったらもっとよくなるかな?」
「まだ」という言葉を使うことで、現在の状態は一時的なものであり、成長の途中であることを伝えられます。これは子どもに「成長マインドセット」を育てる効果があります。
スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエック博士の研究によると、「まだ〜ではない」(not yet)という考え方を持つことで、子どもは挑戦を続ける力を身につけることができるとされています。特に5〜6歳の年長児には効果的なアプローチですよ。
5. 大人の失敗体験を共有する言葉がけ
「大人になっても時々間違えるよ。昨日も料理を失敗しちゃったんだ」
「先生も最初から上手だったわけじゃないんだよ」
「ママ(パパ)が初めて自転車に乗ったときは、何度も転んだんだよ」
大人も完璧ではなく、失敗することがあると知ることで、子どもは「間違えても大丈夫」と安心感を持つことができます。親や先生など、子どもにとって「できる人」のモデルが失敗を経験していることを知ると、子どもは自分の失敗も受け入れやすくなります。
実際の体験談を交えて具体的に話すと、3〜6歳の子どもにも伝わりやすくなります。また、大人が失敗したときにどう対処しているかを見せることも効果的です。
6. 挑戦そのものを称える言葉がけ
「難しいことに挑戦したね。それだけですごいことだよ」
「失敗を恐れずにチャレンジしたことが素晴らしいね」
「新しいことに挑戦するって、ドキドキするよね。勇気があるね」
結果がどうであれ、挑戦する行為そのものに価値があることを伝えましょう。これにより子どもは「やってみること」の大切さを学びます。
特に3〜4歳頃の年少児の子どもは、自分から「やってみよう」という気持ちが芽生え始める時期です。この芽生えを大切に育てるためにも、挑戦する姿勢そのものを認め、称えることが重要です。
7. 「やり直しOK」の安心感を与える言葉がけ
「間違えたら消して、もう一度書けばいいよ」
「うまくいかなかったら、また別の方法を考えてみようね」
「上手くいかなくても大丈夫。また明日挑戦してみよう」
失敗しても何度でもやり直せることを伝えることで、子どもは安心して挑戦することができます。これは「レジリエンス(回復力)」を育てることにもつながります。
特に完璧主義傾向のある5〜6歳児には、「一度で上手くできなくて当たり前」「何度もチャレンジしていいんだよ」というメッセージを繰り返し伝えることが効果的です。
4.さいごに
幼児期の子どもが「間違えるのが怖い」と感じるのは、成長過程の自然な感情だということがわかりました。効果的な言葉がけを通じて、子どもに「失敗は学びの一部」というマインドセットを育み、「挑戦することの楽しさ」を感じられるようになるでしょう。大切なのは、完璧を求めるのではなく過程を大切にする姿勢。
ママやパパも「親も完璧ではない」と受け入れながら子どもと向き合うことで、子どもの「間違えるのが怖い」気持ちを育て直すことができますよ。