ゲームばかりする子ども。心の健康や学習面への影響は?

「子どもとゲーム」と聞くと、あまり良い印象を持たないママも多いのではないでしょうか。時間を守らずやるべきことをやらない我が子の姿を見て心配になるのも、ママとしては当然ですよね。
しかし、ゲームには子どもの脳や成長に役立つ面もあるということが最近の研究でわかりました。例えば注意力・問題解決能力が高まるなど、少し聞いただけでも「他にももっとあるの…?」と思ってしまいませんか?

気になる!ゲームに対してはよくない印象が目立っているからこそ、よい部分をみつけたくなるよね。
本記事を通して、「子どもとゲームがどんなふうに良い関係になれるか」について、読者のみなさんと一緒に考えていけたら幸いです。
もくじ
ゲームが子どもに与える良い影響
まず、良い影響から見ていきましょう。子どもがこれからの時代を生きていくために必要な能力に関わることもたくさんありますよ。
注意力・問題解決能力が高まる
スイスにあるジュネーブ大学が率いる国際心理学者チームは、6歳〜40歳までを対象に「ゲームが脳にどう影響するか」について15年間もの間さまざまなデータを集めて研究してきました。
この研究は特にアクションゲーム(シューティングゲームや戦ってステージクリアを目指すゲーム)に注目しており、「アクションゲームをする人としない人を比べてどんな違いがあるか」を調べたもの。その結果、ゲームをする人たちは注意力や問題解決能力のほか、マルチタスク能力、瞬発力も高いということがわかりました。
どのように操作すればゲーム内のキャラクターが効果的に動くのか、というアクションゲーム内で必要とされる瞬時の判断が、このような力を高める助けになっているのでしょう。
認知能力が高まる
同チームが同時に別の実験もおこなったところ、アクションゲームをする人はその他のゲーム(パズルゲームやシミュレーションゲーム)をする人に比べて、認知能力が高まったこともわかりました。
認知能力とは、一般的な知能検査で測定できる能力のことですね。すなわち、アクションゲームは脳の働きすらも変える可能性があると考えられるのです。
反対語の非認知能力も近年注目されている力ではありますが、子どもにとっての認知能力はいわゆる学力のこと。計算が得意だったり、覚えることが得意だったりと、目に見える力はママとしては正直嬉しいですよね。
楽しくストレス発散ができる
アメリカ心理学会(APA)の調査では、適度なゲームプレイが子どもにとってのストレス発散に役立つこともわかっています。適度なゲームが気分転換になるのは、子どもも大人も同じなのではないでしょうか。
ゲームが子どもに与える悪影響
なにごとにも、メリットもあればデメリットもあるのは当然です。ここでは代表的な悪影響を見ていきましょう。
寝不足や学習への影響
長時間のゲームは、子どもの睡眠時間を削ってしまう場合もあります。時間を決めずにだらだらと続けていると、あとちょっと、あとちょっと!がどんどん長引いて困っているという声も少なくありません。
睡眠不足は学習にも影響する可能性があるため、寝る前のゲームは控えるなどのルール決めはあらかじめしておいたほうがよいでしょう。
依存のリスクも
世界保健機関(WHO)は、過剰なゲーム依存が健康に悪影響を及ぼすとして警鐘を鳴らしています。
ゲームをしているときは脳内のドーパミン分泌が頻回に認められるため、時間もかけずにすぐに「満たされた感覚」になることができます。
その結果、集中・判断・我慢・学習などの機能を担っている前頭葉の仕事がなくなり、衝動や欲望のコントロールが出来なくなる=ゲーム依存が進行してしまう。という流れに陥るのです。
攻撃的な行動につながることがある
一部の研究では、暴力的なゲームが子どもに一時的な攻撃性を引き起こす可能性も指摘されています。あまりにも激しいゲームだと、ゲームの中で起こっていることを子どもが再現してしまうのでは…と、ママが心配になるのも当然です。ですが、子どもは現実世界でそんなことをするほど愚かではない、と唱えている研究もあります。
決めつけるのではなく、子どもの気質や年齢に応じて内容を選ぶことも大切ですね。
ゲームとの上手な付き合い方
では、具体的にゲームとどのように付き合うのが適切なのでしょうか。
プレイする時間や曜日を決めておく
習い事がある日はゲームをしない。してもいい日は30分経ったら休憩をして1時間まで。など、子どもと話し合ってあらかじめルールを決めておくことは大切です。このとき、ルールをママが勝手に決めてしまわないようにしましょう。
「なんでママの言うとおりにしなきゃいけないの?」と反発されては逆効果ですよね。一緒に決めておけば、「自分で決めたことなんだから守ろうね」と無理なく声かけができるでしょう。
一緒にプレイしてみる
子どもと一緒にゲームをすることで、内容を理解できるだけでなく会話のきっかけにもなります。最初は気がのらないかもしれませんが、実際にプレイしてみると楽しいと思えることもあるかもしれません。
お子さんのほうが詳しい場合「ママはまだ慣れていないからぼくが教えてあげるね!」など、お子さんのなんとも得意げな表情が見られる場合もあるでしょう。
まとめ
ゲームは工夫次第で子どもたちの成長に役立つ一方、気をつけたいポイントもいくつかあることがわかりました。ママがガイド役としてサポートしながら、楽しく安全にゲームと向き合える環境を作れるといいですね。
・Shawn Green「アクションゲームは子どもの注意力やマルチタスク能力を向上させる」
・アメリカ心理学会(APA)「ゲームが一部の人にとってストレス発散に役立つ」
・世界保健機関(WHO)「ゲーム依存症」に関するリスクと健康への影響。
・厚生労働省「健康白書」:長時間のゲームがもたらす健康リスクについての報告