子どもはいつまでサンタクロースの存在を信じる?研究データから見るこころの発達

もうすぐクリスマス。「サンタさんってどこから入ってくるのかな?」「サンタさんに欲しいものお願いしなきゃね」など、親子でそんな楽しい話が出る時期でもありますね。
お子さんとそんな会話をしつつも、「我が子はいつまでサンタさんを信じてくれるかな?」「教育上そろそろママやパパからのプレゼントとして渡したほうがよいのでは?」など、ママには様々な思いもあるでしょう。
本記事では、サンタクロースに関するひとつの調査結果を交えながら、4〜6歳頃の子どものこころの発達について見ていきたいと思います。

成長するにつれて、子どもの精神面はどんなふうに変わっていくのかな?
もくじ
子どものこころの成長ステップ
はじめに、4・5・6歳頃の子どものこころはどういった成長をしているのかを、それぞれの年齢ごとに見ていきましょう。
少しずつこころが成長する4歳頃
4歳頃は「自分」と「自分以外の人」の区別がつくようになり、自意識も芽生えてきます。
過去・未来・現在といった時間軸を認識すると同時に目に見えない概念(空想や想像)も理解できるようになるため、オリジナルストーリーを作ってお話してくれる子どももいるでしょう。
とはいえ、少しずつこころは成長しますが我慢できるときもあればそうでないときもあり、さらには感情のコントロールが上手にできない不安定さから、2〜3歳の頃に戻ったような様子が見られることもあります。
感情のコントロールができる5歳頃
5歳頃になると自分の感情を少しずつコントロールできるようになり、自分の思いを主張するだけではなく、お友達の意見を聞いて妥協する姿も見られるでしょう。
ルールのある遊びも理解できるため、くやしい気持ちで怒ったり泣いたりを繰り返しながら、少しずつ成長していきます。保育園や幼稚園ではお友達が困っていることを察して助けてあげるなど社会性が育ちはじめるため、頼もしい姿が見られる時期でもあるでしょう。
社会性が大きく育つ6歳頃
大人が口を出さなくてもお友達同士で話し合い、解決することができる6歳児。協力して活動することもできるため、大人数のグループで役割やルールを守って遊ぶこともできる時期です。
大人から出される複数の指示も理解し行動できるため、公共マナーなどのいいこととだめなことの区別がついてきます。保育園や幼稚園ではお兄さんお姉さんとしてふるまうシーンも出てくるため、責任感や自信もついてくるでしょう。
一方、「もうすぐ小学生なんだから」といった周りの大人からの期待がストレスやプレッシャーとなり、不安定な気持ちになることも多い時期。そんな中でも、子どもなりに気持ちの切り替え方を知っていきます。
「空想」と「現実」の区別がつく年齢
多くの子どもは、おおよそ5〜6歳頃には空想と現実の区別がついてくると言われています。物事を理解する能力、すなわち「認知の発達」ですね。
2歳頃から作り話を交えたごっこ遊びをするようになり、成長するにつれてだんだんと現実に近い遊びをしたり絵を描いたりするようになるのもそのためでしょう。
サンタクロースの位置づけは?
では、サンタクロースに関してはどうでしょうか。乳幼児の発達心理学と保育学を専門分野とする富田昌平教授がおこなった研究を元に見ていきましょう。
研究概要
富田教授は約200名の保育園児を対象に複数の調査をおこない、「子どもたちは何歳頃までサンタクロースを本物のサンタだと認識しているのか」といった研究結果を発表。
研究結果からわかったこと
下記の図からわかるように、4歳児の子どもの約80%はサンタクロースに扮した大人を見て「(本物の)サンタさんだ!」と認識し、6歳児にもなるとその割合は約30%ほどにまで減少するといったことがわかりました。
すなわち、6歳頃になると(大人が扮した偽物の)サンタさんにはさほど興味を持たなくなり、それよりも絵本や物語に登場する魔法使いのようなサンタクロースを「いつか会えるかもしれない存在」と認識し始める、といったことが考察されています。
5〜6歳頃ともなると生意気な態度も増えてくる頃ですが、そんなファンタジーな部分もまだ持っているんだなと考えると、まだまだ可愛らしく思えてくるのではないでしょうか?
子どもにサンタクロースについて聞かれたときは
5〜6歳頃にもなると、「本当にサンタさんがプレゼントくれたの?」なんて疑いの気持ちも出てくるでしょう。それは、先ほどお伝えした「認知の発達」によって論理的思考力が育まれてきている証拠です。
「これがこうでこうだからこうなんだ。」といったように、子どもなりに筋道を立てて考えることができているからこそですね。
親としては聞かれてドキッとしてしまう質問ですが、なにも真実をいまここで伝える必要はありません。「ママはこうだと思うな、あなたはどう思う?」など、子どもの意見をぜひ聞き返してみてください。お子さんの自由な思考に感心させられるかもしれません。
ご家庭によっては、子どもが疑い始めたその段階で現実を話すという場合もあるそうです。せっかく現実を話すのなら、「ママとパパががんばって働いてもらったお金で買ったんだよ」と、お金の教育へと結びつけられるとより良いですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。年齢や認知の発達とともに変化するサンタクロースの位置づけは、子どものこころの成長と深く関わっているということが、ひとつの研究データからもわかりました。
サンタクロースについてお子さんと語り合う時間も含めて、クリスマスがキラキラした思い出となりママとお子さんの記憶に残ることを願っています。
MERRY CHRISTMAS!
・富田昌平「幼児におけるサンタクロースのリアリティに対する認識」第20巻,第2号,177−188,発達心理学研究,2009年